第9回。今回は『双子について』を切り口にお話をうかがいました。
ゲストは国立遺伝学研究所・人類遺伝研究部門の佐々木裕之教授でした。

◎奥さんが双子。お母さんも双子。そんな僕の子供は双子になる可能性が高いんでしょうか?(by番組ディレクター)
いえ(笑)それは無いですね。双子は250人に一組の確率で生まれてくると言われていますが、奥さんもお母さんも双子だからといって、双子が生まれやすいということはありません。
こんな質問から始まった第9回。今日はどんなお話が飛び出すのでしょうか。
◎人工授精だと双子や三つ子が生まれやすい?
それは言えます。排卵誘発剤を用いたりする場合、一度に複数の卵子が排卵されることがあります。そういった意味で、双子、三つ子が生まれやすいというのはありますね。ただし、その場合は一卵性、ではないですね。
◎一卵性双生児は、ひとつの卵子に同時に2匹?の精子が同時にゴールインするとできるの?
それは誤解です。あくまで、ひとつの卵子にひとつの精子です。ひとつの卵子の中で精子が何らかのタイミングで二つに分かれるんです。通常ひとり分の精子から二人の人間が生まれるというのは神秘的ですよね。
◎赤ちゃんが生まれて来る時、大きかったり小さかったりするのはなぜ?
お母さんの胎盤が影響しているという説があります。父親の遺伝子は母体から栄養をたくさんとって大きくなろうとしますが、母親の遺伝子は子供が大きくなりすぎると母体に負担がかかるので、小さく生ませようとします。この双方の遺伝子のバランスが生まれてくる子供の体重に影響してくるという説です。大きめで生まれてくる子は、お父さんの遺伝子が強めと言えるかもしれません。
◎一卵性双生児でも、大きくなってくると性格や顔つきに違いが見られるのはなぜ?
そうなんです。双子のおばあさんで有名な、今は亡き、きんさんぎんさんを思い出してみてください。彼女達は一卵性双生児ですが、性格も顔も、特に似ているように思えませんでした。こんな風に、遺伝子は、もとはひとつのものから始まったとしても、環境や様々な条件によってその性質が変化することがあるんです。私はそんなことから端を発した"エピジェネティクス"について研究しています。
◎えぴじぇねてぃくす ってなんですか(汗)?
エピはエピローグ、なんかのエピ(後)、です。ジェネティクスは遺伝学。つまり塩基配列の変化を伴わず、遺伝子の発現を活性化したり、不活性化したりする後世的装飾を言います。
◎例えばどんな・・・?
例えば「メチル化」ということを研究します。例えば、アサガオの花はたいてい二色混合で彩られますが、あの白い部分というのは、厳密に言うと「白」の遺伝子が発現しているのではなく、「青」の遺伝子がメチル化(働かなくなっている)からなんです。このメチル化はいわゆるフリーズ状態のようなもので、基本的には有効に働くのですが、時にメチル化してほしくない遺伝子までメチル化してしまうことがあります。例えば、ガン抑制細胞。私たちはこの細胞によって、ガンを抑制する働きを体に備えていますが、このガン抑制細胞がメチル化してしまう場合もあるんです。そうするとその人はもれなくガンになってしまうわけです。この研究が進むことで、より完全な再生医療が可能になってくるでしょう。
◎先生はどんな子供だったんですか?
どちらかというと文系少年でした。ただ家が医者家系だったので、そちらの方向に進んだのですが。ある時、顕微鏡で細胞を見たときに「なんて美しいんだろう」と感動したんです。それがこの世界に入ったきっかけだったかもしれない(笑)。私は顕微鏡の向こうにアートを感じてしまったんです。
◎子供達にメッセージを!
まず夢中になれることをみつけてとことんやり抜くといいと思います。そこから将来の突破口が見えてきますから!
◎夢は何ですか?
今はまだまだわからないことが目の前にたくさんありすぎて(笑)。そのひとつひとつが面白くて毎日が過ぎていきます。夢はこういった次から次におこる疑問をこれからも紐解いて行くことでしょうか。
佐々木先生ありがとうございました。チューリップの『青春の影』をリクエストいただきましたが、財津和夫さんと同郷ということで、こころなしかお顔も似ているような気が致しました。
先生が顕微鏡をのぞいて、アートを感じたというエピソードが私は印象的でした。私は基本的に数学ダメダメですが、方程式を習った頃、イコールの美学のようなものを感じてチョット感動した体験をふと思い出しました。ああいうふとした感動に、将来の道を決めるきっかけが潜んでいる場合もあるのかもしれませんね。そう思うと、幅広く勉強しておくことはとても豊かなことのように感じます。今からでも何か勉強しようかなぁ・・・。
来週もお楽しみに!
花村湖子
